魔法のりんご

2021/05/06
王さまがひとりの娘を持っていた。



娘は重い病にかかって死にそうだった。



医者は妙薬を飲ませない限り、見込みはないと言った。



そこで王は、


自分の娘の病気を治したものには娘をめとらせ
次の王さまにするであろうと布告した。


遠い地方に三人の兄弟がいた。



ひとりが望遠鏡でそのおふれをみた。


そして彼女に同情して、


何とか3人で王女の病気を治してやろうと相談した。


ひとりは魔法の絨毯を持っていた。


もうひとりは魔法のりんごを持っていた。


魔法のりんごを食べるとどんな病気でも治る。





そこで3人は、魔法の絨毯に乗って王宮に出かけ、


王女にりんごを食べさせると、


王女の病気はケロッと良くなって、


みんな非常に喜び、


王さまは宴会を開いて新しい王子を発表しようと思った。




すると一番上の兄弟は、

「私が望遠鏡で見なかったら、われわれは来られなかった」と言い




二番目は

「魔法の絨毯がなかったら、とてもこんな遠いところには来られなかった」と言い



三番目は

「もし、りんごがなかったら、治らなかったではないか」と言った。





あなたが王だったら、この三人の誰に王女をめとらせますか?






答えは




「りんごを持っていた男である」




絨毯を持っていた男はまだ絨毯を持っているし



望遠鏡を持っていた男もまだ望遠鏡を持っている。



りんごを持っていた男は、りんごを与えてしまったので




なにも持っていない。

彼はあらゆるものを娘のために与えてしまった。



タルムードによれば


「なにかをしてあげるときには、すべてをそれにかけるものが一番尊い」ということである。



"ユダヤ5000年の知恵”より